4.TCP/IPのインターネット層プロトコル

IPv4の機能

IPアドレスに関する情報をやり取りすることにより、そもそもの送信元と送信先の2台の コンピュータでパケットを送受信できる。

IPv4のIPアドレスは2の32乗で1人が1台のグローバルアドレスをもてないが、 IPv6のは2の128乗で、とてつもなく広大である。

IPv4の構造

IPv4ヘッダ内容
フィールド名ビット長説明
ヴァージョン4IPヘッダのヴァージョン番号。これにより、以下のフィールド配置を認識できる。
ヘッダ長4ヘッダの長さを4オクテットを1として設定。
サービスタイプ8優先度、低遅延要求の有無、高スループット要求の有無、高信頼性要求の有無を示す。
パケット長16IPヘッダとIPデータの和のオクテット長
識別子16上位層が分割されたデータを再構築する際に必要となる。
フラグ3分割可能かどうかと、最後のパケットかどうかを示す。
フラグメントオフセット13フラグメントごとのシーケンス番号。
生存期間8パケットがネットワークに存在できる時間を示す。ルータを通過するときに減少し、0になると破棄される。
プロトコル8上位層のプロトコルを示す(1→ICMP、6→TCP、17→UDPなど)。
ヘッダチェックサム16IPヘッダのチェックサム。
送信元IPアドレス32パケットを送信したノードのIPアドレス。どの相手に応答するかを確認できる。
宛先IPアドレス32パケットの宛先となるIPアドレス。ルータがルーティングに使用する。
オプション可変長テストやデバッグ時に使用される。
パディング32-オプションのビット長オプションによるあまりを埋め、32の整数倍になるようにする。
データ可変長データ本体。

チェックサム

誤り制御方式の一つ。通信によって情報が失われていないかをチェックする。

IPv6登場の背景

IPv4は1970年代に考案されたものであり、その後、問題点が明らかになってきた。 それらを解決したのがIPv6である。

IPv6ヘッダフォーマット

IPv6ヘッダのフィールドと機能
種別フィールド名ビット長説明
IPv6ヘッダヴァージョン4IPヘッダのヴァージョン番号。これにより、以下のフィールド配置を認識できる。
優先度4ルーティング時の優先度を指定する。
フローラベル24ルータで、ルーティングを優先させるなどの特別な扱いをする必要のあるパケット群を判別するための情報。
ペイロード長16IPヘッダの後のペイロード(データ)の長さ(IPv4のパケット長と同じ)。
後続ヘッダID8上位層のプロトコルを示す(IPv4のプロトコルと同じ)。
ホップリミット8IPv4の生存期間と同じ。
送信元IPアドレス128自己のIPアドレス。
宛先IPアドレス128パケット送信先のIPアドレス。
任意拡張ヘッダ中継点オプション、経路制御、断片、暗号ペイロード、終点オプションの計6つのヘッダを必要に応じてつなげる。通信効率を上げたり、セキュリティ機能を高める。
ペイロードデータデータ本体(通常TCPヘッダを含む)。

IPv4からIPv6への移行

すべてのコンピュータを一度にIPv6対応にするのは無理なので、移行期間中は混在することになった。

移行のための技術

IPの補助機能を持つICMP

IPはコネクションレス型のプロトコルなので、パケット再送などの機能はない。 異常な状態を回避する策として、ICMPがある。

ICMP(Internet Control Message Protocol)はIPの上位層に位置し、相手の存在確認や、トラフィック過剰、経路変更、 時間超過を通知する。が、実際にはIP上で動作する。


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